ABURA博士の食用油navi

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脂肪酸の分類

 前回は脂肪酸とは?という解説をしました。

oil-information.hatenablog.com

 

この脂肪酸ですが、化学的に分類することができます。

今回はまじめに分類の話をしてみます。

脂肪酸の分類

脂肪酸は右側COOHの構造を持ち、左側にたくさんの炭素原子Cと水素原子Hがくっついています。左側部分については、たくさんの構造があるのでR-と表すことが多く、一般的に脂肪酸はR-COOHと化学的に表現します。

 

脂肪酸は炭素の数、二重結合の数、二重結合の位置によって色々な種類に分かれます。表を見てみましょう。 

 

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一例ですが、↑↑↑こんな感じで 、炭素の数、二重結合の数、二重結合の位置によって、それぞれ異なる脂肪酸になります。

二重結合・・・?!(読み飛ばし可)

ここで二重結合の説明です。

炭素原子は基本的に4本の手をもっているため、他の4つの原子と手をつなぐことができます(ステアリン酸の図を見てみると、どの炭素も4本の手を持っているかと思います)。

本来ならば他の原子と1本の手で手をつなぐところ、2本の手を使い強力に手をつなぐ結合様式(=これが二重結合です)

ちなみに二重結合があると、炭素は2本の手で炭素と手をつなぐため、その分水素と手を繋げなくなります。

 

二重結合(=)の位置ですが、COOHと反対側のCH3(左側)から何個目に最初の二重結合があるかが表で示されています。

この二重結合ですが、2個以上ある場合、最初の二重結合から炭素原子1個飛ばしで規則的にできる性質があります。

(=C-C-C=)←こんな感じの規則性で二重結合はできあがります。

脂肪酸を二重結合の観点から分類してみる

脂肪酸は大きく二重結合の有無で下記2種類に分けることができます。

二重結合なし(例、パルミチン酸)→飽和脂肪酸

二重結合あり(例、リノール酸)→不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は二重結合の数に応じて、1価不飽和脂肪酸、2価不飽和脂肪酸、3価不飽和脂肪酸・・・と呼ばれることもあります)

二重結合の有無で、脂肪酸の栄養学的価値が異なることから、飽和・不飽和脂肪酸に分けられています。

 

また、二重結合を有する不飽和脂肪酸は、二重結合の位置によってn-3、n-6、n-9系不飽和脂肪酸と呼ばれます。

上の表に二重結合の位置という項がありますが、左(CH3側)から何番目の炭素に最初の二重結合があるかで分類されます。

 ・オレイン酸(n-9)

リノール酸、γ-リノレン酸 (n-6)

・α-リノレン酸(n-3)

 

※n-はω-と表記されることもあります。意味は同じです

脂肪酸の略称表示

繰り返しになりますが、脂肪酸素数二重結合の数と位置で様々な種類に分かれます。そのため、炭素数と二重結合の数、位置を用いて略称表記することができます。

例えば炭素数18、二重結合数2、二重結合の位置が左から6個目のリノール酸の場合、

18n-6)

主要な脂肪酸一覧

日常的に摂取することの多い脂肪酸がどんなものなのかを下の表で見てみましょう。

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脂肪酸一覧

素数、二重結合数とその位置が、略称表示に対応していることがわかるかと思います。

次回のお話になりますが、脂肪酸の種類により有する栄養機能が変わってきます。

まとめ

脂肪酸とはR-COOHで表される物質の総称

素数、二重結合数とその位置によってさまざまな脂肪酸になる

二重結合の有無で→飽和脂肪酸or不飽和脂肪酸